読みやすいライティング記事を書く文章術のひとつに「体言止め」があります。
「体言止め」は、同じ文末を繰り返すことを回避したり長い文章を区切る場合にも使います。
特に長い文章が嫌われるWEBライティングにおいて、体言止めは大変使い勝手の良い表現方法。(←これが体言止め)
便利で効果的なのでついつい乱用してしまいますが、体言止めが続くと違和感が生まれてしまうデメリットもあります。
この記事では「体言止め」の便利で効果的な使い方について、例文を用いて解説しています。
また、東洋経済新報社や日本経済新聞社のオンラインサイトにて、文章のプロが実践する「体言止め」についても検証。
プロから盗めるテクニックは無いか探してみました。
それでは一緒に勉強して、ライティングスキルをUPさせていきましょう!
体言止めとは→文末を名詞や代名詞で終える表現方法のこと
- 名詞とは
- 人やモノ、場所など、物事の名称をあらわす活用のない自立語のこと。単独で主語になります。
例:私 お菓子 漫画 高尾山
- 代名詞とは
- 人やモノなどを指し示す名詞のこと。文中では上記の「名詞」と同じ働きをする。
例:これ あなた あっち ぼく きみ だれ
文章作成において「同じ語尾を3回以上繰り返すのはやめましょう」と聞いたことがあるかと思います。
文章の末尾に「~です。~です。」など同じ表現が続いてしまうと、稚拙な印象になったり読者が単調に感じてしまう原因に。
そんな時「体言止め」を使うことで文章が引き締まり、イメージを変えることが可能なのです。
他にも体言止めが便利に使えるシーンはたくさんあります。
次の章で、体言止めの具体的な使い方について例文を用いて解説しますね!
【例文解説】効果的な体言止めの使い方~使うべき4つのシーン
体言止めが効果を発揮するのは、どんな時でしょうか。
ここでは「体言止めの使い時」を4つ、例文を使いながら丁寧に解説します。
①長い文章を2つに分割するとき
ひとつの文章が長文になってしまったときは、まず冗長表現を排除していきますね。
冗長表現とは、文章内の無駄な表現のことです。その表現が無くても意味が通るのであれば削除します。
冗長表現を排除しても長文になってしまうときは、文章が2つに分割できないか考えてみましょう。
文脈の意味を「ひとかたまり」で捉え、その意味の切れ目で分割します。
文章を2つに分割する目印は、文章中の以下の部分です。
「、」⇒読点
「~が」
この部分で体言止めを入れ、文章を2つに区切ると上手くいきます。
次の例文をまずは2つに分割してみましょう。
【原文】
PTAは今年度、子どもたちの見守り強化のため地区ごとに編成される「地区委員」の設置をしたが、将来的にはPTA役職を増員させることについても言及した。
上で説明したように、「~が」の部分で区切ると良さそうです。
【2文に分割】
PTAは今年度、子どもたちの見守り強化のため地区ごとに編成される「地区委員」の設置をした。
将来的にはPTA役職を増員させることについても言及した。
これでも問題ないですが、「~した」「~した」と2回続くので少し単調な印象になっています。
よってここで体言止めを使います。体言止めを使ったのが以下の文章です。
【体言止めを使って2文に分割】
PTAは今年度、子どもたちの見守り強化のため地区ごとに編成される「地区委員」を設置。
将来的にはPTA役職を増員させることについても言及した。
文章の流れが良くなり、スッキリとしました。
体言止めを使うことで説得力も増し、読みやすくなりましたね。
②単調な流れを断ち切って読者の注意を惹きつけたいとき
次に、単調な流れでリズムの悪い文章を「体言止め」で改善してみましょう。
私が今一番がんばっていることは、ダイエットです。
中でも続けやすいのは、糖質制限ダイエットです。
短期間で結果が出やすいのが特徴です。
これからも続けていきたいと思っています。
↓ ↓ ↓ (体言止めを入れてみると…) ↓ ↓ ↓
私が今一番がんばっていることは、ダイエットです。
中でも続けやすいのは、糖質制限ダイエット。
短期間で結果が出やすいのが特徴です。
これからも続けていきたいと思っています。
強調したい「糖質制限ダイエット」の部分を体言止めにしました。
これだけで、リズムがずいぶんと良くなりましたね。
尚、ここで注意するのは「体言止めを続けて使わないこと」です。
(✖体言止めを連続使用したNGな例)
私が今一番がんばっていることは、ダイエットです。
中でも続けやすいのは、糖質制限ダイエット。
短期間で結果が出やすいのが特徴。
これからも続けていきたいと思っています。
連続で体言止めを使用すると、どうしてもぶっきらぼうな印象になります。
文章が途切れてしまって、逆にリズムが悪くなってしまいますね。
③読み終えた後の「余韻」を読者に感じてほしいとき
体言止めには、文章の終わりに「余韻」を残す効果もあります。
ここでの「余韻」とは、文章を読み終えた読者の頭の中に『ふわっと広がるイメージ』を与えることです。
昔の短歌などでも体言止めはよく使われていました。「新古今和歌集」などは体言止めのオンパレードです。
風通ふ寝覚めの袖の花の香に
新古今和歌集 俊成卿女
かをる枕の春の夜の夢
心なき身にもあはれは知られけり
新古今和歌集 西行法師
鴫(しぎ)立つ沢の秋の夕暮れ
なんとも余韻が美しい和歌ですよね。読んだ後に情景がふわっと広がり、奥行きを感じます。
このような体言止めの使い方は読み手の想像に依存する部分が大きいため、情報の正確性が求められる文章での使用はあまりおすすめしません。
体言止めを使用して余韻を残す方法は「文章を曖昧なものにしてしまう」という体言止めのデメリットを逆に活用した例だといえます。
エッセイのような文章であれば、体言止めで効果的に余韻を演出することができるでしょう。
④プロも使ってる!読者の関心を引く「記事タイトル」を作成するとき
文章のプロが書いているであろう、日経新聞のサイトや東洋経済オンラインを見てみてください。
人気の記事タイトルを見てみると、そのほとんどが「体言止め」であることに気付きます。
体言止めを使用することで、読者がついクリックしてしまうようなタイトルが作れるんですね。
ここでも体言止めの「余韻」や「注意を惹きつける」効果が発揮されているといえます。
「東洋経済オンライン」から、ひとつの記事タイトルをピックアップしてみました。
資源を薄利多売するロシア、暖冬に救われた欧州
「東洋経済オンライン」政治・経済ニュースより引用
上記タイトルがもし体言止めでなかったら…
「ロシアは資源を薄利多売、欧州は暖冬に救われた」(←うーん。。。やっぱりタイトルとしてぼんやりとしている)
圧倒的に体言止めのタイトルのほうがドラマチックな感じがしますし、つい中身を読みたくなってしまいます。
WEBライターやブロガーが記事タイトルを作成する際は、このように体言止めを意識してみても良いと思います。
文章のプロから学べることはたくさんあります。
こういったサイトの記事タイトルを眺めるだけでも勉強になりますので、ぜひやってみてください。
【効果半減!】体言止めの乱用に注意!最小限にとどめる方法とは
体言止めは大変便利な表現です。
しかし使うべきところで使わないと「読者に伝わらない」という逆効果を生んでしまうのです。
- 体言止めの使いどころを間違えると・・・
- 投げやりな印象を与えてしまう
上から目線の印象になる場合がある
冷たい印象、雑な印象を与える場合がある
曖昧な印象を与えてしまう
体言止めはあくまでもテクニックのひとつですから、臨機応変に使用するのが望ましいでしょう。
体言止めを最小限にとどめる方法
- 「使いどころ(ねらい)」を絞る
- 一段落に一回までと決める
- 体言止めを回避できるなら回避する
ではひとつずつ解説します。
「使いどころ(ねらい)」を絞る
体言止めを多用すると、表現が単調になり意味が伝わりにくくなります。
体言止めは必要最小限に。ねらいを絞って使おう
大前提として、体言止めを使わず文章を書いてみることをおすすめします。
なぜなら「体言止め」は情報不足に陥りがちだからです。
よって体言止めが回避できるのならば使いません。
どうしても必要なときだけ使うのです。
WEBライターが恐れるのは、記事途中での「読者の離脱」ですね。
単調なリズムで同じような表現が続くと、読者は飽きてしまってページから離脱します。
そこで体言止めを使用して読者の脳を刺激し、新しいリズムで最後まで読み進めてもらうのです。
ピンポイントで使うことにより、体言止めの効果を最大限に発揮させましょう。
「使用は一段落に1回まで」と決める
日本経済新聞社では記者に対して「体言止めはできるだけ避けるように」と、事あるごとにお達しが出るそうです。
プロである新聞記者にとっても「体言止め」は使い勝手が良く、ついつい使ってしまうのでしょうね。
体言止めはどうしても文章の分割が上手くできない場合などに限定し、「一段落で1回まで」と決めて使用しましょう。
記事の雰囲気によってはあえて使わない場合も
また、読者の気持ちに寄り添う文章を書いているときの「体言止め」には注意する必要があります。
突然体言止めが来ると、読者は一瞬突き放されたように感じることがあるかもしれません。
私は丁寧に読者に語り掛けるような文章を書いている場合、「~です」が何度か続いたとしても、あえて体言止めを使わないときがあります。
例文)
保育園まではママがつきっきりでしたね。子どもが一人ででかけることもありませんでした。
それが小学生になったらいきなり、「一人で学校に行きなさい」といわれるのです。
ずっとそばにいたママも保育園の先生もおらず、一人です。
それは子どもにとって、とても不安なことなのです。
上は「~です」を連続使用した例文です。
記事は細かいニュアンスで雰囲気がガラリと変わりますよね。
読み手の年齢層や文章の雰囲気によって的確な表現方法を使い分けましょう。
効果的な「体言止め」でも→ビジネス文書ではNG
使い勝手の良い体言止めですが、ビジネスメールや報告書などでの使用はNGです。
ビジネス文書では体言止めは使わない【例外:箇条書き】
ビジネス文書での体言止めは、相手に対して失礼な印象を与えてしまいます。
箇条書きは例外
ただし「箇条書き」は例外となります。
報告書の中などに「箇条書き」を入れる場合は、体言止めを使用しても大丈夫です。
【補足:体言止めを使わずに文末を変化させる方法】
体言止めを使えないとなると「~です」「~でした」などが連続し、単調で稚拙な文章になってしまうと懸念する人がいるかもしれません。
体言止めを使わなくても、単調な文末は変化させることができます。
簡単な文章ですが、例を出しますね。
【文末が単調】
私は6時に起床しました。朝食は7時に食べました。家を8時に出ました。
【文末を変化させた例】
起床した時刻は6時です。朝食を7時に食べ、家を出たのは8時でした。
文末を一部変え、後半の2文を1文にまとめました。これだけでもずいぶん印象が変わると思います。
体言止めを効果的に使って、心をつかむ魅力的な文章を書こう
今回は「体言止め」について解説しました。
私も普段からよく使っている体言止めですが、調べるにつれ(文章表現は奥が深いなあ…)と思わずにはいられませんででした。
体言止めを使った文章を2つに分割するだけで一気に読みやすくなったり、理解しやすくなったりするのですから。
体言止めは表現が曖昧になる、乱用すると理解しづらい文章になる等デメリットもありますが、適材適所に使うことで効果を発揮できます。
体言止めは短く簡潔に表現することができるため、文章のスピード感や説得力を高める効果があることも分かりましたね。
最後に「体言止め」のおさらいをします。
- 体言止めはねらいを絞り、適材適所で使おう
- 使うのは「一段落で一回まで」を目安としよう
- 記事の雰囲気によって使い分けよう
- 記事タイトルには積極的に使ってみよう
それでは本日はここまでとなります。読んでいただいてありがとうございました。
◎WEBライターの文章術については以下の記事も参考にしてください。
新PASONAの法則テンプレート|心に残るライティングの極意とは
◎WEBライティングについてのやさしい解説はこちら ↓